陽はまた昇る(予定)

無名まんが家・いおり真の雑記

プロのまんが家

まんが家としてのプロデビューを『初めて連載がスタートした時』とするなら、たぶん2012年くらいだったと思うので、今年でデビューして十年ほどってことになる。
『初めて掲載された時』で考えるならもうちょい経ってるけど。

ともかく十年くらいはプロのまんが家として活動させてもらって四つの連載作を描いて、電子も含めれば十数冊の単行本を出させてもらっている。ありがたいことだ。


プロのまんが家と書いたが、自分でも果たして自分をプロと名乗っていいのかこの十年悩み続けている。
いつ誰から聞いたか定かじゃないが、単行本発売の際に黒字になる目安は『重版が一度でもかかる』ことだと聞いたことがある(事実かどうかは知らないけど)。

俺はこれまで一度も重版がかかったことはない。
なので出版社は俺の単行本を刊行するたびに赤字を重ね続けていることになる。単行本一冊にあたりどれくらいの費用がかかるのか知らないが、十年ずーっと黒字化できたためしがないと考えると、俺の仕事は商売として成立していないと言われても仕方ないと思う。
俺は底辺だがそれでも毎回数千とか一万数千もの部数を刷ってくれて、その大半が紙クズになっていると思うと心底情けなくなる。

毎回毎回新しい連載を立ち上げるたびに、売れたいとか面白い作品を描きたい気持ちと同じくらい、プロとして最低限利益を出せるものを残すことを目標にしてきた。
でもそれをクリアできたことは一度もない。
こんな体たらくでプロを名乗っていいのか、こんな自分はいつ何時出版社から見切りをつけられても不思議じゃないと、今も戦々恐々としている。

子どもが生まれ、まだ俺はまんが家を続けようとしている。四十路に手が届く歳になってまだ底辺作家でいる俺を家族は応援してくれている。
ありがたいことに一緒に進んでくれる編集さんもいる。


『気持ちだけはプロ』はやめてもう本当に、いい加減にプロとして結果を残したい。